私は天使なんかじゃない
バイアス・ヴラド
伝説の大富豪。
ハトバに来て3日。
私はここで観光客として振る舞っている。スナイパーライフルは置いてきた、護身用に9oを帯びているだけだ。
陽光を浴びた街を歩く。
「やあ、クリスさん」
「どうも」
サキが経営しているベネット海の家という宿屋を出て散歩していると誰かが挨拶してくる。男性だ。
誰か?
誰か。
正直なところ誰だか知らない。
多分酒場の客だろうか?
多分。
とりあえず挨拶し、手を振っておいた。
この辺りの空は青い。
キャピタルは空の色がどことなく煤けていたし海を隔ててすぐ北のソドムを含む一帯は空こそ青いもののジャングルの湿気でも含んでいるのかどこかどんよりとしていた。
というかここもルックアウトに含まれるのだろうか?
まあいい。
ハトバの人口は約200名、孤島という閉鎖された空間ではあるものの、その活気はソドムに匹敵する。
私的にはソドムよりも好きだ。
何故ならあそこは監視されている感じが消えないから。
……。
……ふむ。調査した方がいいのかもしれない。
COSがルックアウトにいるのは分かっているし、ソドムに入り込んでいるのは分かってる。だがそれとは別の地元勢力がいるのは確かだ。
ここに来るまでに船の上で襲ってきた刺客はその類だろう。
市長のバルトはその勢力を知っているのだろうか?
ヴァン・グラフ・ファミリー?
そうかもしれない。
「酒場にでも行くか」
毎日飲んだくれているわけではない。
あくまで任務の一環だ。
情報収集?
それは初日に済んだ。それ以降酒場で零れてくる情報はゴミでしかない。
私はあくまで異邦人。
ここで活動するにはある程度の顔繋ぎが必要となる。
その為の行動。
ビイハブ船長が持つ船を平和的にしても物理的にしても、頂く為の策を講じている最中だ。
どちらの酒場に行こうか。
マドロスの酒場か、それともデッキ2階にある酒場か。
少し考えるも後者を選んだ。
私はデッキに向かった。
「まだか、船はまだなのかっ!」
デッキの側で男が叫んでいる。
毎日だ。
何なんだもこいつは。
無視して足を進める。
かつてここでは造船が行われていたらしい。かつて、それは戦前。今では嵐が来た時、船の緊急避難用の場所としての意味合いしかない。
それ以上の意味は、デッキ本体ではなくその周辺にあった。
この建物の周りは魚市場となっており日々活気がある。
入る際に顔見知りとなった漁師にピチピチの奇形魚を勧められた。
当然断ったが。
現在デッキ2階は小さな酒場が経営されている。
私は2階に上がり椅子代わりの樽に座った。時間が時間だからか、客は2人しかいない。そもそもマドロスの酒場に比べて酒の種類も少ないしわざわざ2階にまで上がらなくてはならないので利便性
があまりない。行きは疲れるし、帰りは酔っているので階段の下りが危ないから人気がない。
テーブルに頬杖をついて注文を待つ。
「おや、あんたか」
「どうも」
腰の曲がった婆さんが出迎えてくれる。
トミ。
この酒場の主だ。
サキといいトミといい、この街はアジア系が多いのだろうか?
今となっては人種など関係ない話だが。
「何を飲むかね?」
「ワインを」
「洒落たもんを飲むもんだね、相変わらず。あんなもん、苦いだけだろうに」
「舌で味わうものなんですよ」
「どうでもいいことさ、儲かればね。おーい、ワインを瓶で持って来ておくれ。銘柄も色も何でもいい。どうせ大したものはないんだから」
「……」
客の前で言うことですかね。
客の前で。
この店が今一つ流行らないのはオーナーの性格が大きいんじゃないの?
別にいいけど。
「イラッシャイマセ」
合成音声。
そこにいたのはお盆を持ったロボブレイン。ゴミバケツのようなフォルムのボディにキャタピラを付けた戦前の有機ロボット。
有機な部分は脳みそ。
ボディの上にある頭部に脳みそが乗っかっている。透明な硬質物質に覆われた脳ミソはボランティアの被験者の物で、プロテクトロンのお粗末なプログラムに満足しなかった軍部が
人工知能が開発されるまでの間代用として使用していた。その後人工知能がポピュラーなものになると人間と機械の融合は行われなくなった、らしい。
公式にはね。
なので現在出回っている、正確には未だ徘徊している旧世代のロボットの中で、有機型はロボブレインだけ。
だけどかつて西海岸では剣を誇っていたエンクレイブはロボブレイン技術を有していたとの報告もある。
まあ、特に大した技術ではない。
外科的技術の観点から見たらすごいのだが、兵器としてはお粗末で、脳を機械に移植しての延命程度の意味合いしか持たない。
少なくともBOSが欲しい技術ではない。
「ワインヲドウゾ」
「どうも」
ロボブレインの手には指がない。
3本の鉤爪、手の中央にはレーザービームの発射口。
器用に乗せるものだ。
グラスとワイン瓶を盆から取り、私は酒を注ぎ一口飲む。
悪くない味だ。
「キンゾー、下がっていいよ」
「ワカリマシタ、トミサン」
忠実なことだ。
「トミさん」
「なんだい?」
「言われたとおり毎日通ってる、そろそろあのロボットの出所が知りたいんだけど」
「ああ。その話か。特に大した話じゃないよ、前に海岸で拾ったんだ、それだけさ」
「凄い拾得物だ」
「あっははははは。そうだろ? 最初はこれで無料の従業員が手に入ったー、って感じだったんだがね。何というか死んじまった息子のゴンゾーが帰って来てくれたみたいでね」
「何故キンゾーなの?」
「背面にKINZO-04と刻印があるんだよ、小さくだけど。それでキンゾーって呼んでいるのさ」
「なるほど」
「大した話じゃないだろ?」
「そうね」
「おい婆さん、またこいつ止まってるぞっ!」
客の1人が叫んだ。
ロボブレインは確かに止まっている。腕は垂れ下がり、その場で止まっているというよりは、停止しているようだ。
「まったく、また居眠りかいっ!」
「居眠り?」
おかしなことを言う。
脳があるとはいえ完全にロボットだ。あの脳はあくまで演算し、行動するためのものであり、脳の提供者がロボットになっているわけではない。
あくまで人工知能の代用なのだ。
それ以前のお粗末な人工知能の代用として人間の脳を使用した、それだけのはずだ。
寝ている?
面白い発言だ。
「起きな、キンゾーっ!」
「……ZZZ……」
「まったく。これさえなければあんたは最高の従業員なんだけどねぇ」
「……ZZZ……」
えっと、寝てるのか?
本気で?
モハビBOSでもロボブレインを使っているけどそういう症状を見たことはない。エラーかバグなんだろうけどなかなか面白いものだ。
トミはロボブレインにブツブツと小言を言っている。
人間扱い、か。
面白い。
注意を客たちに向ける、何やら面白い話をしていた。
「道の彼方には石になった人間が立ち並ぶ化石の森があるとか。知ってるよな? あそこにはお宝があるとか何とか。昔の道がここから北へと走っててよ、その道を辿り、出て行った者たちは
誰も帰ってこない、みんな石にされてしまったという噂だ。どうする行ってみるか? 最近Uシャークのお蔭で不漁だし」
「あほらしい。人間が石になんかなるわけねーじゃねぇかっ!」
化石の森?
宝?
地元民の迷信話は意味が分からない。
翻訳集はないのか?
「面白そうな話をしているね」
ドカッと樽の上に座る緑の髪の女。
私のすぐ側にわざわざ座る。
何のつもりだ?
レザーアーマーにショットガン、ハイテク海女でもないし漁師でもない、かと言って一般市民ってわけでもない。傭兵かこの街の兵士ってところか。
「私はビリージーン。あなたは?」
「答える義理が?」
「じゃあ一杯奢ろう。そうしたら顔見知りってね」
「クリス」
面倒臭い奴だ。
適当にあしらう。
「良い話教えてあげる。今の話の続き。あなた、余所者でしょう。お宝探しに来たの? それとも果たすべき何かの為に? 必要な物を探しに、そして自分の為に」
「……何者?」
「押し殺した声で言わないでよ。とりあえず何かは当たってたってことね。もしくは全部かしら?」
「さあね」
「マドロスの酒場に3日前行ったでしょ? その時にあなたの顔は見たわ。観光客なんて珍しい。それで、ここには何しに?」
「帰る」
立ち上がり、キャップを置く。
ワインの代金。
ほとんど瓶は飲んでいない。それを掴み、踵を返す。
こいつはCOSか?
油断ならない。
歩き出す。
「昔の道の彼方、森の木立に並んでいるのは彫刻と呼ばれるもの。人が石になったのではなく石や金属を人に似せて拵えたもの、彫刻って知ってるよね?」
「……」
「その先に行けばヴラドという伝説的な大金持ちが建てた博物館と別荘があるわ、行ってみるといい」
「……」
何者だ、あいつ?
階段を降り、デッキから外に出る。
一度ベネット海の家に戻ることにした。
ハトバ唯一の宿や、らしい。元々連絡船がUシャークに沈めて以来、孤島と化しているここではそれ以上に宿は必要ないみたいだけど。
木造の1階建て。
海の家、とは戦前にあった海水浴を楽しむ人向けの施設という意味合いがあったようだ。
今はただその名を継いでいるだけけに過ぎないけれど。
「あっ、お帰りなさい」
「どうも」
扉を開けて入る。
入ったすぐ先には小さなカウンターがあり、そこにサキがいた。
水着姿で。
……。
……この子、水着がデフォみたいで目のやり場が困る。
嫌いなタイプではないし。
むしろ、好み……げふんげふん。
「クリスさん、掘り出し物ありますよ。何か御入り用ですか?」
「必要ない」
「そうですか」
彼女はハイテク海女。
鋼鉄の鎧のような潜水服を着て汚染された海に潜り、戦前のスクラップ品を引き上げてくるのが本業。この宿はあくまで祖父であるベネットの物で、彼女は手伝っているに過ぎない。
カウンターに並んでいるのはそんな品々だ。
ゴミにしか見えないが。
「売れるの?」
「たまに皆さん買いに来ますよ。単体では役に立たなくても何かの部品のだったりしますし」
「ふぅん」
「さっき新規のお客様が来ましたけど、ここって基本は観光客の方は来ないので、こうしてハイテク海女で稼いでいるんですよ。そっちの方は需要がありますし」
「生活費を稼ぐ為ってことね」
生きる基本だ。
「生活費、それもありますけど……」
「……?」
それだけではないらしい。
「銀のオルゴールです」
「銀のオルゴール」
どこかで聞いたような。
「お爺ちゃんの為なんです。昔連絡船がUシャークに沈められた時、お爺ちゃんの奥さん、つまりお祖母ちゃんが乗ってたんです。銀のオルゴールはお爺ちゃんが贈った物なんです」
「それを引き上げる為にハイテク海女に?」
「はい」
頷く。
「お爺ちゃんはもう長くありません。だから、オルゴールを見つけて、その音色を聞かせてあげたいんです」
「叶うといいわね」
「ありがとうございます」
銀のオルゴール、か。
聞いたような気はするが私の任務とは関係ない、BOSが望むものでもない。
任務に専念するとしよう。
「お食事にしますか?」
「出掛ける」
「そうですか。どちらに?」
「ちょっと街の外まで。北にある博物館とやらに行ってくる」
「では化石の森に?」
少し戸惑った顔をする。
人間が化石になっているわけではない、ここの地元民は彫刻というものを知らないようだ。
私は迷信なんかどうでもいい。
本音では博物館もね。
だけどヴラドとかいう男は科学者らしいし、その手の博物館の可能性がある。
BOSとしての好奇心というやつだ。
「向かうのであればお止めはしませんけど少し距離があります。出来たらブルームーンハウスで休息を取った方がいいですよ」
「ブルームーンハウス?」
「昔の何とかっていう人が作った建物です」
「ああ」
酒場で聞いた別荘のことだろう。
ブルームーンハウス、か。
なかなか洒落た名だ。
その名前が戦前のものなのか戦後に地元民に付けられた名前なのかは知らないが。
「無人なの?」
「いえ。プールで魚を養殖してるんで何人かいますよ。宿泊も可なんで、そこでお泊りすることをお勧めします。気の良い人たちなんで無料でおもてなししてくれるんですよ、前に何回か行ったことが」
「情報ありがとう」
「道中お気を付けて」
「ええ」
スナイパーライフルを背負い、ダッフルバックを持って私はハトバの北に向かう。
一応全財産を持つ形での移動。
ダッフルバックには食料や飲料だけではなく弾薬や爆薬の類やソドムで入手した金庫もある。何があるか分からないので全財産を持って移動している。
全財産と言うと語弊があるな。
要は武器だ。
万が一の為の武器を持っての移動だ。
COSは私がルックアウト入りしたのを知っている、ヘルメツ島まで来るかは知らないが、警戒は必要だ。
「あれか?」
日が沈みつつある。
青い色をした優美な建物があった。ところどころ色が剥げてはいるが、その優美さはまだ失われていない。
ブルームーンハウスってあれのことか。
テニスコートがある。
建物の窓から明かりが洩れているからサキが言っていた通り人はいるのだろう。
お気を付けて、とは言われたものの特に危険はなかった。
密輸業者がどうこう言っていたがそういう類にも遭遇しなかった。運が良いのか、密輸業者が上陸するのが稀なのかは知らないが。
「悪くない」
建物の外観は悪くない。洒落てすらいる。
ここに泊まるとするか。
近付き、扉を開く。
「こいつは珍しい。旅人かい?」
「ええ」
出会い頭に男と遭遇。
汚れた衣服をまとった男性。別に不潔というわけではないのだろう。着ている服が古いだけだ。だが良く見ると元々は良い品物だと分かった。
男は視線に気付いたのか、笑う。
「この屋敷にあった服を着ているんだ、これでも洗濯してるんだぜ」
「宿泊は可能?」
「ああ。ハトバから魚の買い付けに来た一行もいるし。見たところハトバの人間ではなさそうだな。観光客かい?」
「そんなところ」
「どこに行くんだい? まさか化石の森か?」
「ええ」
じゃなきゃこんなところまでわざわざ来ない。
魚の養殖?
魚の買い付け?
BOSが全く関与しないことだ。関与しなさ過ぎで新ジャンルですらある、まあ、絶対に関与しないだろうけど。
欲しい物は旧世代のハイテク。
それがBOSの規範なのだ。
「あなたは?」
そもそもこいつは誰だ?
ここの何だ?
雑魚と話しても時間の無駄でしかない。
「ああ、すまない。俺はここの管理主任だよ。着てる服も立派だろ? 社長のものだからな」
「社長?」
「昔話の社長の代物さ」
「昔話?」
「ここらじゃ有名な話だ。聞きたいか? ……ああ、その前に立ち話も何だな、こっちにおいで。丁度飯の時間なんだ。用意中だが直に出来る。取って食いはしないよ、さあさあ、奥に」
「どうも」
リビングに通される。
大きな丸いテーブルと無数の椅子。椅子には何人か座っていて各々が私に会釈した。私も頷き返す。
養殖場の職員と思われる男たちと、ハトバから買い付けに来たであろう商人の男女が座っていた。
レイダーか何かか、もしくは罠かと一応は警戒した物のサキからの話もあるし酒場で聞いた話もある、ここは普通に養殖場なのだろう。少なくとも身振りは戦闘の素人だ。
猫を被っている?
だとしたら凄いものだ。
私がまるで気付かないのだから。
勧められるまま座る。
「昔話って?」
「ここらじゃ知らない者がいない、だが長いが大して面白くない話さ。ここは昔ヴラド・コングロマリットって馬鹿でかい企業の社長の別荘だった場所さ。今じゃ魚の養殖場だがね。そこの社長は
有名な科学者でさ、名前は確か、バイアス・ヴラドとか何とか」
「バイアス・ヴラド?」
「ああ。そうだ」
どこかで聞いた名前だ。
どこかで……。
「そいつは環境汚染を科学で解決するという触れ込みで政治家としても成功した人物だったらしい。巨大ロボットも作ったって話だ、本当かどうかは知らないがね」
「ロボット、あり得ない話ではない」
「そうなのか?」
「ええ」
実際リバティ・プライムは存在している。
現在裏切り者であるキャピタルBOSが保有している。
問題としては稼働に必要な電力をこの時代では容易に充填できないというところだろう。稼働さえしたら、エンクレイブとも対等に渡り合えるだろうが、まあ、無理ね。
キャピタルBOSはエンクレイブに負ける。
もちろんモハビBOS所属の私にしてみれば裏切り者の末路など知ったことではないが。
「それで?」
「ヴラド博士は本当に優れていた人物らしい。自分の企業を投げうってまで環境汚染に取り組んでいた。環境を汚染しない太陽光発電所や湖水浄化プラントを次々と建設して行った。博士は
英雄的な人物として人々の尊敬を集めていたという。だが博士の人生に突然狂いが生じた」
「狂い?」
「治る見込みのない不治の病魔に侵されてしまったのさ」
「どうなったの?」
「病魔に侵され、死を避けられないと知った時、博士は変わった。全ての事業を放り出して自分の為だけの巨大な施設を建て、そこに閉じこもってしまった。そんな折も折、全面核戦争が
起こったんだ。後は知っての通りだ、世界は吹き飛んでしまい、こんな有様だ。ヴラド博士がその後どうなったかは誰も知らない」
「……」
「なっ、大して面白くない話だったろ?」
「……」
「ん?」
「……バイアス・プラド……?」
「どうしたんだ?」
「その施設はこの島に?」
「えっ? さあな。ここには別荘と北にそいつの博物館があるだけだ。場所は知らないよ。ルックアウトにあるのかもしれないが全く別の地方かもな。少なくともヘルメツ島にはないよ」
「そう。何の施設なの?」
「さあなぁ。どんな施設なのか、どの程度の大きさなのかすら分からないよ」
「バイアス・プラド、か」
思い出した。
モハビ・ウェイストランドに古くからいる残虐非道な武装組織バイアス・グラップラー軍団。
全方位に敵を作るのが得意なBOSですら関わりを避けた組織。
テッド・ブロイラーを筆頭に強力無比な四天王を有し、強大な軍事力でNCRやリージョンすらも寄せ付けないバイアス・グラップラー、そして伝説の大富豪バイアス・ヴラド?
ヴラドのことは知らなかったが関連性があるのだろうか。
ただの言葉遊び?
ただの偶然?
不謹慎だが面白い話ではある。
「ヴラド博物館、か」
明日が楽しみだ。
旧時代に繋がる、何かがあるかもしれない。
エリヤ抹殺という本来の主任務からは外れるものの興味深い。
「おっ、飯が出来たようだ。食おう。荷物は適当に部屋に放り込んでくれよ、空き室はたくさんあるから」
「ええ。どうも」
面白くなってきた。